マンションに内窓は付けられる?管理規約と申請の進め方

マンションの窓は、実は共用部分として扱われます。そのため内窓を付けるときは、管理組合への申請が必要になるのが原則です。国土交通省のマンション標準管理規約では、内窓の増設が「開口部の改良工事」の具体例として明記されています。この記事では、規約上の位置づけと申請の進め方を、条文を確認しながら解説します。
マンションの窓は共用部分
専有部分は住戸の内側、というイメージがありますが、窓はそこに含まれません。国土交通省のマンション標準管理規約(単棟型)第7条第2項は、専有部分の範囲を次のように定めています。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
令和7年改正 マンション標準管理規約(単棟型)第7条第2項
同規約のコメントでも「開口部は共用部分として扱うこととなる」と説明されています。窓が共用部分である以上、たとえ自分の住戸の窓であっても、区分所有者が自由に改変してよいものではないという整理になります。
内窓の増設は「開口部の改良工事」にあたる
では内窓はどうなるのか。内窓は既存の窓には手を加えず、その内側に新しい窓を設けるものです。この点について標準管理規約のコメントには、次のような記述があります。
「共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するもの」の工事の具体例としては、防犯・防音・断熱性等により優れた複層ガラスやサッシ等への交換、既設のサッシへの内窓又は外窓の増設等が考えられる。
令和7年改正 マンション標準管理規約(単棟型)コメント 第22条関係⑥
「既設のサッシへの内窓の増設」が、第22条の対象として明示されています。つまり標準管理規約に沿った規約であれば、内窓の設置は管理組合の手続きを経て行う工事という位置づけになります。
「内窓は室内側だから手続きは不要」と説明されることもありますが、規約の建て付けとしてはそうではありません。実際の取り扱いは各マンションの規約と細則によって決まります。
区分所有者が自分で実施できる仕組みがある
手続きが必要と聞くと難しく感じますが、標準管理規約には区分所有者が自分の負担で工事を行うための規定が置かれています。
2 区分所有者は、管理組合が前項の工事を速やかに実施できない場合には、あらかじめ理事長に申請して書面による承認を受けることにより、当該工事を当該区分所有者の責任と負担において実施することができる。
令和7年改正 マンション標準管理規約(単棟型)第22条第2項
第1項では、開口部の改良工事は原則として管理組合が計画修繕として実施するとされています。そのうえで第2項が、管理組合がすぐに実施できない場合には、理事長へ申請して承認を受ければ、区分所有者の負担で工事ができると定めています。断熱のための内窓設置は、この経路で行われるのが一般的な形です。
なお同規約のコメントでは「承認の申請先等は理事長であるが、承認、不承認の判断はあくまで理事会の決議によるものである」と説明されています。総会を開き直す必要はありませんが、理事会の判断を待つ時間は見込んでおく必要があります。
申請の進め方
- 管理規約と細則を確認する — 開口部の改良に関する条項と、申請書の様式があるかを確認します。標準管理規約は工事内容や遵守事項を細則で別途定めるものとしています
- 管理会社・管理組合に相談する — 過去に同じ工事の承認事例があるかを聞くと、必要書類の見当がつきます
- 見積りと商品の資料を用意する — 承認の判断材料として、取り付ける商品の仕様がわかる資料を求められることがあります
- 申請して承認を受ける — 承認は書面で受けます。承認が下りてから工事日を決めます
当社では現場調査のうえでお見積りをお出しします。申請に添える資料が必要な場合はご相談ください。承認後の工事当日までの進み方は内窓の工事の流れをご覧ください。
マンションで内窓が選ばれる理由
窓が共用部分であるということは、外側のサッシやガラスを勝手に交換できないということでもあります。マンションでは外観の統一も求められるため、外窓の交換はハードルが高くなります。
その点、内窓は室内側に設けるため外観が変わりません。既存の窓を撤去しないため、廃材も少なく、1窓あたり最短60分で取り付けられます。共用廊下やベランダを長時間ふさぐこともありません。マンションの断熱改修として内窓が選ばれやすいのは、こうした理由からです。
メーカー側も、内窓は建物の構造による制限はなく、戸建住宅・マンション・アパート等すべてに取り付けできるとしたうえで、集合住宅の場合は管理組合等への事前承認が必要な場合があると案内しています(出典: LIXIL よくあるお問い合わせ)。
注意しておきたいこと
- 規約はマンションごとに違う — 標準管理規約はあくまで国が示すモデルです。実際に適用されるのはお住まいのマンションの規約と細則です
- 賃貸で住んでいる場合は所有者の許可も必要 — 区分所有者(部屋の持ち主)の許可と、管理組合の承認は別の話です。賃貸に内窓は付けられる?もあわせてご覧ください
- 窓枠の状態は現場で確認する — 規約上の可否とは別に、窓枠の奥行きや状態という物理的な条件があります。詳しくは内窓を取り付けられない窓をご覧ください
- 共用部分の工事を管理組合が計画している場合がある — 大規模修繕でサッシの更新が予定されているなら、時期を調整したほうがよいこともあります
- 設置後に気づきやすい短所もある — 開け閉めが2回になる、掃除する場所が増えるといった点は内窓のデメリットにまとめています
費用と補助金
内窓リフォームネットの内窓は、引違い窓2枚建の通常仕様で45,200円〜(工事費・税込、2026年8月時点)です。商品は商品一覧でご確認ください。
「先進的窓リノベ2026事業」は集合住宅も対象で、補助額は窓のサイズと断熱性能で決まります。戸建住宅と集合住宅で単価の表が分かれているため、金額を確認する際は集合住宅の表をご覧ください。詳しくは2026年度の内窓の補助金で解説しています。最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。
よくある質問
管理組合に黙って付けてしまうとどうなりますか
規約に違反した工事は、原状回復を求められる可能性があります。売却時に説明が必要になることもあります。手続きを踏んでおくほうが結果的に負担が小さく済みます。
承認にはどのくらいかかりますか
理事会の決議によるため、理事会の開催頻度によって変わります。月1回の開催であれば、その周期に合わせて申請するとスムーズです。管理会社に事前に確認することをおすすめします。
結露やカビを理由に申請してもよいですか
標準管理規約のコメントは、第22条第2項について「結露から発生したカビやダニによるいわゆるシックハウス問題を改善するための断熱性の向上等」を想定される事情として挙げています。断熱性の向上は規約が想定している目的のひとつです。
上階の足音は内窓で軽減できますか
軽減できません。内窓が抑えるのは窓から入る音です。床や壁を伝わる音には効きません。効くケース・効きにくいケースは内窓の防音効果をご覧ください。