窓の断熱と健康。国の調査が示す室温と健康の関係、その読み方

住宅の断熱性能と居住者の健康の関係について、国の事業として全国規模の調査が行われています。窓は住まいのなかで熱の出入りが大きい場所です。この記事では、公表されている調査結果と、その数値をどう読めばよいのかを整理します。
国が公表している調査結果
国土交通省は、住宅の室温と健康に関する調査結果を公表しています。「住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査」の報告にもとづくものです。
| 調査項目 | 公表されている内容 |
|---|---|
| 心電図の異常所見 | 室温が12〜18℃、12℃未満の住宅に住む人は、18℃以上の住宅に住む人に比べて1.8倍、2.2倍 |
| 総コレステロール値 | 同じ比較で、基準範囲を超える人が1.8倍、1.9倍 |
| 身体活動 | 断熱改修により居間や脱衣所の室温が上昇。コタツが不要となることなどで、住宅内の1日の身体活動が最大で約50分増加する可能性 |
| 子どもの喘息 | 床近傍室温が16.1℃未満の住宅では、16.1℃以上の住宅に比べて喘息の子供が2倍 |
| 入浴 | 居間や脱衣所の室温が18℃未満の住宅では、入浴事故リスクが高いとされる「熱め入浴(42℃以上)」が約1.7倍に増加 |
出典: 国土交通省「健康&快適生活|家選びの基準変わります」(住宅の断熱化と居住者の健康への影響に関する全国調査 第6回報告会)
この数値の読み方
ここは慎重にお伝えしておきます。
- これは住宅全体の断熱と室温に関する調査です — 窓だけを対象にしたものではありません。壁・床・天井を含めた住まい全体の性能が関わります
- 内窓を設置した場合の健康への効果を示したものではありません — 内窓を付ければ数値が変わる、という調査ではありません
- 室温と健康診断の結果の関係を示したものです — 病気が治る、予防できるという意味ではありません
当社は住まいの窓を扱う立場ですが、内窓を健康のための設備として販売しているものではありません。健康や症状に関することは、医療機関にご相談ください。
そのうえで、この調査から読み取れるのは「冬の室内が寒い状態は、いくつかの指標と関係がありそうだ」という傾向です。寒さを我慢することが当たり前ではない、という判断材料として受け取っていただければと思います。
室温を左右する場所として窓が大きい
国土交通省は、窓の断熱性能について「屋根や壁に比べ、窓やドアからは室内の熱が外に逃げやすい」と説明しています(国土交通省「省エネ性能向上のための 窓の性能表示制度」)。この性能を数値で見る方法は窓の断熱性能の見方で解説しています。
同資料では、窓の断熱性能を高めるメリットとして、暖房費の削減のほかに「住宅内の温度差を解消し、ヒートショックによる心臓や血管への負担を小さくする等、健康で安全な生活に寄与します」「冬期の窓面の結露を抑制し、カビ等による室内空気の汚染を低減します」が挙げられています。
窓に手を入れることは、住まい全体の断熱を上げる手段のひとつです。壁や床の断熱工事に比べて、工事の規模が小さく、部屋単位で進められる点が実務上の違いになります。
内窓でできること・できないこと
| できること | できないこと |
|---|---|
| 窓から出入りする熱を抑える | 壁・床・天井から逃げる熱を抑える |
| 窓際の冷えをやわらげる | 暖房のない部屋を暖める |
| 窓の結露を抑えやすくする | 室内の湿度そのものを下げる |
| 部屋ごとの温度差を小さくしやすくする | 健康状態を改善すると約束すること |
内窓は暖房器具ではありません。熱が逃げにくい状態をつくるものであり、暖房を使っていない部屋の室温を上げるものではない、という点はご理解ください。効果の範囲は内窓の効果は本当にある?で解説しています。
冬の入浴時の温度差については内窓はヒートショック対策になる?、部屋ごとの優先順位は内窓はどの窓から付けるべき?をご覧ください。
費用と制度
内窓リフォームネットの内窓は、引違い窓2枚建の通常仕様で45,200円〜(工事費・税込、2026年8月時点)です。窓のサイズやガラスの仕様によって金額は変わります。
先進的窓リノベ2026事業では、戸建住宅で内窓1か所あたり22,000円〜140,000円が補助されます(性能グレードとサイズによる)。詳細は2026年度の内窓の補助金をご覧のうえ、最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。商品と価格は商品一覧でご確認いただけます。
よくある質問
内窓を付ければ血圧が下がりますか
そうしたご案内はしていません。国の調査は住宅の室温と健康診断の結果の関係を示したもので、内窓の効果を示したものではありません。健康に関することは医療機関にご相談ください。
室温は何℃を目安にすればよいですか
国土交通省が公表している調査では、18℃以上とそれ未満で比較した結果が示されています。ただし、快適と感じる室温は人によって異なります。目安のひとつとしてご覧ください。
窓を替えるだけで室温は上がりますか
暖房を使っている状態で、熱が逃げにくくなるという変化です。暖房を使っていなければ、室温が上がるわけではありません。また、壁や床の断熱、家全体のすき間の影響も受けます。暖房の効きと冷暖房費の関係は内窓で電気代は下がる?で扱っています。
結露とカビは健康に関係しますか
国土交通省の資料では、窓の断熱性能を高めるメリットとして「冬期の窓面の結露を抑制し、カビ等による室内空気の汚染を低減します」が挙げられています。結露そのものへの内窓の効果と限界は内窓で結露は防げる?で解説しています。
どの部屋から手を付けるとよいですか
調査で言及されているのは居間・脱衣所の室温です。長く過ごす部屋と、温度差が生まれやすい場所が候補になります。判断の材料は内窓はどの窓から付けるべき?にまとめています。